TBSラジオ『たまむすび』
2021年03月03日放送「マンガ、ときどき本」
パーソナリティ : 赤江珠緒
パートナー : 博多大吉
ゲスト : ブルボン小林


TBSラジオの番組『たまむすび』内「マンガ、ときどき本」コーナーでブルボン小林さんが「映画『花束みたいな恋をした』に登場する長嶋有作品」について話されていました。


■映画
『花束みたいな恋をした』
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■長嶋有
『いろんな気持ちが本当の気持ち』(2005年)
(ちくま文庫 2011年)
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480428868/
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赤江珠緒 私も先日鑑賞しました『花束みたいな恋をした』という、有村架純さんと菅田将暉さん主演の映画でございますけれども、この劇中に長嶋有さんの小説が登場すると。

ブルボン小林 そうなんですよ。

赤江珠緒 本棚にブルボンさんのマンガの本があったのは「アッ!」と思ったんですけど。

ブルボン小林 そうそう。その評判を聞いて、気もそぞろになって観に行きましたよ。そしたら本当に有村さんと菅田さんが、まあ恋愛映画だから出会う場面で、出会って初めて呑んだ時に、お互いに「今、何読んでる?」みたいに文庫本をお互い出し合う・・・。

博多大吉 そういう登場の仕方?

ブルボン小林 そうそう。それで片っ方の菅田君が読んでたのが穂村弘さんっていうエッセイ、短歌の世界で有名な人の本で、有村さんが出したのが「長嶋有」って。で、お互い「好きなんだ?」「それ、好きなんだ」みたいに「同じ趣味だね」みたいに盛り上がるキーワード。

博多大吉 これ、さすがに事前に話、あるんでしょう?

ブルボン小林 ないないない。

博多大吉 ないの、これ?

赤江珠緒 あっ、ないんですか!

ブルボン小林 全然知らなかった。人の評判で・・・。

博多大吉 「出てるよう」、つって?

ブルボン小林 「出てるよう」って。「マジで!」みたいな。

博多大吉 エエーッ!

ブルボン小林 メチャクチャ落ち着かない映画鑑賞で。

赤江珠緒 じゃあ、どこでどう出るかもわかんなくて。

ブルボン小林 それで惜しいのはカバーがかかってて。

赤江珠緒 そうなんですよ。

ブルボン小林 何の本か言わないんです、有村さんが。「好きだ」ってことは言ってくれたんだけども、だから僕はもう手に汗を握って、「書名を言え!書名を言え!」。

赤江珠緒 ハハハッ!

博多大吉 書名が出ないの?

ブルボン小林 書名は出ない。

赤江珠緒 だからか、私も「タイトルわからなかったんだよなあ」と思ったら。

博多大吉 長嶋有の名前も出ない?

ブルボン小林 長嶋有ってのは出るの。

博多大吉 あっ、名前は出る?

ブルボン小林 で、その後、菅田将暉君の演ずる若者の家に行ったら菅田君の本棚に僕の本がたくさん・・・。

赤江珠緒 そうそうそう。

ブルボン小林 あるんですよ。

博多大吉 長嶋先生が?

ブルボン小林 そうそうそう。それも僕はもうね、「手に取れ!手に取れ!」

赤江珠緒 ハハハッ!

博多大吉 「表紙を見せろ!」

赤江珠緒 ・・・全然、違う鑑賞してる・・・。

ブルボン小林 『氷の微笑』という、昔あった映画で、シャロン・ストーン演ずる妖艶な謎めいた女が警察の取り調べを受ける時にノーパンなんですよ。ミニスカにノーパンで脚を組み変えるっていうシーンがある。

赤江珠緒 そうだった、有名なね。

ブルボン小林 それの時に「劇場中の男性が脚を組み変える瞬間に首を動かして、ノーパンを見ようとした」みたいな見方をしてんです。

赤江珠緒 ハハハッ!

博多大吉 なんちゅう例えをしてんですか!

ブルボン小林 『花束』の・・・全然『花束』感のない鑑賞に。

赤江珠緒 ああ、そうですか。

博多大吉 すごいですね。そんな重要な登場の仕方なのに著者にはなんの連絡もなくって。

ブルボン小林 ないですね。

赤江珠緒 メールをいただいてるんですけどね。リスナーさん、58歳女性の方。

(リスナー)

『花束みたいな恋をした』観ました。とても良い映画で、観た人と何時間でも話をしたくなりますし、何度も見返したい映画です。『たまむすび』的には主人公たちの会話や本棚に登場した長嶋有さんですよね。こういう風に名前だけの登場でも許可をもらいにくることはあるのですか。

赤江珠緒 無いという。

ブルボン小林 無い。
(リスナー)

今回、とても良い場面の登場ですが、例えば、「長嶋有は好きだけど、ブルボン小林はちょっとね」なんてセリフがもしあったら名前を出して欲しくないですよね。

ブルボン小林 「長嶋有は好きだけど・・・」なら、全然OKです。別にブルボン小林は下げてくれていいです。

赤江珠緒 いいですか?

ブルボン小林 “下げ”用だから。やっぱ冒頭、有村さんが出した本が、「エッ!君、ブルボン小林?」だと恋が始まらないと思う。

赤江珠緒 ああ・・・恋に行くにはね。

ブルボン小林 そうそうそう。終電で帰ると思う。

赤江珠緒 そうですね、あの流れはね。で、その時の本がこちら『いろんな気持ちが本当の気持』。

ブルボン小林 あっ、言ってもらえた。やっと公に。ちくま文庫。

博多大吉 エッセイ集?

ブルボン小林 エッセイ集。自分でそれをツイートしたら、なんか「下品だな」っていうか。便乗も甚だしいじゃないですか。

博多大吉 いやあ、乗りましょうよ、ここは。

赤江珠緒 そうですよ。しまおまほさんが帯を書かれてる。

ブルボン小林 文庫解説も。

赤江珠緒 「何度も何度も読みたくなる あの第1エッセイ集が文庫化!」ということでございます。

ブルボン小林 もうね、もう一つ例を出すと、G-SHOCKって腕時計、元々は土木作業員みたいなガテン系の人向けに頑丈な時計で専門的な時計だったのが、世界中の若者にヒットした理由っていうのが映画『スピード』でキアヌ・リーブスがしてた。だから、それと同じで、「映画『花束みたいな恋をした』で有村架純が読んでた」で世界中の若者が・・・

赤江珠緒 ・・・。

ブルボン小林 っていうことを妻に言って、「それ、Twitterで言おうかと思うんだけど」って言ったら、「キアヌ・リーブスがしてたG-SHOCKはそれ1個でしょう。あの映画、何冊、本出てきたと思ってるの?」。

赤江珠緒 確かに。

ブルボン小林 そうね。最初から最後までこの本だけってことはない。

赤江珠緒 すごいいろんな本や作品がたくさん出てくる映画ですから。

ブルボン小林 すごい正論で諭されて。

赤江珠緒 そうでしたね。

ブルボン小林 ちょっと余談が長くなりましたが。

赤江珠緒 いやいやいや。

博多大吉 是非、この映画の方もね。

ブルボン小林 いや、おもしろかったですよ。

赤江珠緒 本当。

ブルボン小林 本当に本好きのカップルなら段々、本棚の本が増えていくはずなのに、全然最初から増えないから、「本当に本好きなのかな?」みたいにも思ったりもしましたけど。

赤江珠緒 ・・・。

博多大吉 褒めてますよね?

ブルボン小林 褒めてます、褒めてます。

赤江珠緒 私も昔「こういう恋をしたな」と思ったんですけど、ただ・・・その花束がすごいドライフラワーなんで。

ブルボン小林 ・・・。

赤江珠緒 なんかすごいカラカラになってたっていうのが再発見できました。

ブルボン小林 なるほどね。いろいろなことを思える映画です。

赤江珠緒 そうそう。いろいろ思える映画でございましたね。


■映画
『氷の微笑』
(1992年)
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■映画
『スピード』
(1994年)
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